「地域の力で加速する気候政策―未来へのステップ―」世界首長誓約/日本ワークショップ in 名古屋大学を開催しました。
2024年10月24日(木)、名古屋大学にて「地域の力で加速する気候政策―未来へのステップ―」と題した公開イベント(午前、坂田平田ホール)と誓約自治体の担当者とのワークショップ(午後)を開催しました。北は北海道上士幌町から、南は鹿児島串間市、志布志市、そして9月に署名した一宮市など14自治体が参加し、各自治体の取り組みを発信すると共に、議論を深め、情報を共有しました。
初めに、名古屋大学大学院環境学研究科の横山智研究科長より開会の挨拶として、世界の「世界エネルギー首長誓約」の中でも、大学が事務局を担っているのは日本、この名古屋大学だけであり、その利点を生かし、学術的なサポートも行っていきたいとの意気込みが語られました。次に、世界気候エネルギー首長誓約 世界事務局の共同マネージングディレクターのPier Roberto Remitti氏からの「地球環境の問題は単独では解決できない、そのためには、地方自治体が連携することが必要である。そのためのこのイベントは、知識を共有し能力を向上さえる重要な一歩である」と、心を奮い立てるメッセージビデオが放映されました。
基調講演には、環境省 中部地方環境事務所 小森 繁所長より、この地球の危機的状況を脱するために、「地域共進化」という、「環境政策を軸にして、地域の様々な構成員が対話し、連携し、ともに進み、地域経済・地域社会が元気になる・危機に強くなるように、ともに進化する」新しい試みにチャレンジしたい!という、熱いパッションがほとばしる講演をいただきました。小森所長は1992年地球サミットが開催された年に入庁されたとのことで、気候変動対策、生物多様性保全と大きく環境へシフトするため環境基本法策定などに関わられ、その最先端を歩み続けているからこその話をお聞きすることができたのは、未来を考える上での大きな礎となりました。
次に、北海道上士幌町ゼロカーボン推進課 佐藤泰将課長に「ゼロカーボン かみしほろサミット」の報告をいただきました。かみしほろサミットは、一つの自治体では解決できない課題を共有し、その解決策を探ることが目的として実施され、総勢38自治体106名に加え、オンライン22自治体が参加する盛況なものであったとのこと。これをきっかけに協議会を立ち上げるなどの「サミット宣言」を採択し、未来のためにローカルがグローバルな取り組みを推進していく誇りをもって対策を推進していくとのこと。このサミットは、昨年、世界首長誓約/日本の国際ワークショップを上士幌町で実施できたことが、このサミットの開催につながったとのこと。改めて昨年上士幌町で実施してよかったと感じ、各地の誓約自治体で世界首長誓約/日本のイベントを開催していくことに背中を押されました。
続いて、今年6月にバンコクで開催されたGCoMアジア・クロージングのワークショップに参加した8自治体から5自治体の取組み紹介を兼ねたプレゼン・リレーの後、杉山範子事務局長がモデレータを務めるパネルディスカッションを行いました。当イベント恒例となってきた「〇」と「×」のプレートを用い、最後にはパネルに「バンコクワークショップに出ての新しい目標、決意」となる「未来へのステップ」を一言ずつ披露していただき、パネリストのポジティブな決意・目標を共有し、午前の公開イベントを終了しました。
午前の公開イベントでは、世界首長誓約/日本のしくみと活動を紹介した新しい動画を披露することもできました。世界首長誓約/日本の動画は、まもなくWebで公開する予定です。
午後からは、誓約自治体の担当者と名古屋大学の教員と、少人数での集中したワークショップを開催しました。まず、名古屋大学大学院環境学研究科の教員が講師を務めミニレクチャーを行った後に、3つのグループでディスカッションし、その後、内容を発表する形式です。
セッション1の三上直之先生からは、「気候市民会議の開き方・生かし方」、セッション2の高野雅夫先生からは、「再生可能エネルギーから広げる地域活性化の仕方」、セッション3の杉山範子先生は、「世界気候エネルギー首長誓約 アップデート」としてレクチャーを行い、それぞれの問いに、自治体の皆さんで議論し、情報を共有し、未来へのステップを一歩踏み出して終了となりました。